特殊清掃とはその名前の通り、皆さんが「清掃」と聞いて思い浮かべるような駅ビルの清掃や路地の清掃とは違う特別な清掃の事を言います。
普通の清掃よりも過酷な清掃となりますが、人の役に立つ仕事であり、孤独死が問題視される現代社会において重要であり必要とされる仕事です。
このような特殊清掃業の意味や必要性、特殊清掃とは何をする仕事なのか?などを詳しく説明して行きます。
特殊清掃業とは何をするのか?
特殊清掃では、主に自殺や事故死した場所の清掃をします。
日本は高齢化社会が進んでおり、老人の孤独死が社会問題ともなっています。そんな中、孤独死現場の特殊清掃業が仕事として増えています。
このような現場の清掃は普通の清掃とは大きく違います。
遺体の発見が遅れてしまうと強烈な異臭が漂い、害虫も発生します。特に夏場は遺体の腐食速度が速いので早急な対応が必要とされます。
現場は体液などから感染病にかかる危険性もあり、素人には清掃するのが難しいです。よって専門的な知識や覚悟を備えているプロに清掃を依頼するのが一般的です。
主な内容としては、汚れの清掃、汚物撤去、除菌、脱臭、害虫駆除などです。
汚れの清掃
遺体が放置されると、遺体から体液や血液は滲みでてベットやカーペットを汚し、さらには床や壁に染み込んでしまいます。
特殊清掃ではそういった壁や床についていた汚れを洗剤で取り除き、洗浄します。腐食や汚れの量によっては、床の張替えも行います。
汚物撤去
遺体から発生した汚物には菌やウイルスが含まれている可能性があり、清掃員が感染しないように気をつけながら、また菌、ウイルスが部屋の外に漏れないように気をつけて汚物を排除する必要があります。
基本的に遺体は警察が片付けてくれるのですが、その際に皮膚や髪の毛は置いて放置されてしまうことがあります。
体液が染み付いた布団などの他に、そういった放置された体の一部も特殊清掃で撤去します。
除菌
遺体が放置されていた部屋には空気中に細菌が沢山発生しています。
清掃員の健康を害さないためにも空気の除菌をまず作業前に行う必要があります。
脱臭
遺体からはいわゆる「死臭」が発生しています。匂いが残っているとハエがよってきたり、近隣住民へ多大な迷惑がかかるのでなるべく早く対処する必要があります。
「死臭」とは遺体が微生物によって分解されるときに発生するガスの匂いであり、一度嗅ぐとなかなか忘れることの出来ない強烈な匂いです。一つの成分の悪臭なのではなく、複数の成分が混ざり合って生じる悪臭であると言われています。世界一の悪臭とも言われています。
消臭の方法には大きく分けて二つの方法があります。
一つが薬品による消臭であり、もう一つがオゾンによる消臭です。
消毒に使われる薬品としては次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウムなどが挙げられます。こういった薬品は消臭の他に除菌という役割も持っており、作業前に部屋に散布されることが多いです。
散布には手動噴霧器やフォグマスターという器具が使われます。フォグマスターを使うと、液剤を微粒子レベルにまで細かくして散布することができ、より高い効果を見込めます。
オゾンによる消臭は薬品による消臭の最終仕上げとして行われることもあり、オプション料金となる場合も多いです 。
オゾン発生器からオゾンが発生すると、匂いの原因となっている空気中の分子、細菌を分解することができます。
オゾンは人体に有害であるので、取り扱いには十分気をつける必要性があります。
害虫駆除
遺体にはハエやウジなどの害虫が沢山群がります。ウジとはハエの幼虫であり、ハエが部屋に侵入し遺体に卵を産み付けることでウジが遺体にわいてしますのです。
初めて部屋に入ると、あまりの光景にショックを受ける人も多いです。
ハエは繁殖力が強いので、遺体が放置されてから日数が経っている場所だと産卵をしている可能性が高いです。
たとえその場を綺麗にしたとしてもすぐに、繁殖してしまう可能性がありますので、近くの家具も処分する必要があります。
ハエは色々な細菌や病気を持っている可能性がある為、早めの駆除が必要です。
また、ゴキブリが大量発生している場合もあります。
目に見える場所にいる害虫を駆除しても、隙間などの目に見えにくい部分に巣があり後日また発生してしまう可能性があるので徹底的な駆除が必要とされます。
遺品整理との違い
特殊清掃に似た仕事に遺品整理という仕事があります。
遺品整理は、亡くなった人の持ち物を整理、回収、買取を行います。
それに比べて特殊清掃は脱臭や除菌など、プロでないと出来ないような清掃をします。
死臭が遺品に染み込んでいる場合、遺品を除去しないと完全な消臭は出来ないので、特殊清掃には遺品整理も含まれている場合も多いです。
特殊清掃と遺品整理を比べますと料金の違いに差がありますし、特殊清掃に遺品整理も含まれている業者がありますので、料金を比較検討する際は、特殊清掃の料金に遺品整理の料金が含まれているのかどうかを確認するのも大事でしょう。
どんな人が仕事を依頼することが多いのか?
仕事は故人の親族や、故人に家を貸していたマンションの大家さんからの依頼が多いです。
孤独死や殺人などの死体現場は何日も経ってしまってどうしようも手を付けられなくなった場合や腐食が進んでしまって、虫や害虫が大量に発生していると見込みがある場合が多いです。
時間が経てば経つ程に作業も大変になってきますので、早めに依頼をする事が必要になって来ます。
やはり、素人には死体現場を掃除する為の必要な知識がなく、また悲惨な現場でかなり辛い作業となるので、プロの特殊清掃業者に依頼する流れになるのでしょう。
特殊清掃業の重要性、必要性
この仕事は個人で作業する事は殆ど不可能で、精神的にも肉体的にも大変な仕事です。
専門的な知識が必要であり、値段もかなりするので、良い業者を選ぶ必要があります。
死亡現場は、そのまま放置しておくと近隣にも迷惑がかかってしまいます。それに専門的な知識が無いと完全に元の状態に戻すのは大変難しいです。
また、時間がたつと現場はどんどん悲惨な状況になっていきます。なるべく早く、プロの清掃員に任せるべきでしょう。
悪臭の消臭や消毒がきちんと出来ていないと、部屋の価値が落ちてしまい、近隣住民にも多大な迷惑をかけてしまいます。
お金はかかってしまいますが、信頼のおける専門業者を選んで部屋を元の状態になるべく近づけるべきでしょう。
まとめ
特殊清掃員というものはどのようなものなのか、重要性や必要性を説明してきました。
自分で作業をするのは限界がありますし、専門的な知識が無いと作業をする事が出来ません。
特にこのような仕事は早めの決断が必要で尚且つ、信用が出来る業者を選ぶ事が必要です。
悪徳業者は法外な料金を取る事がありますので信頼や実績がある業者を選ぶことが大事です。
信頼がある業者は口コミなどにもいいコメントが残っています。コメントや口コミは一番信頼出来るものです。その理由は、実際に依頼した感想を言っているからです。良い所も悪い所も素直な意見をありのまま言っているからです。
また、過去の作業例を乗せている業者の作業例、料金表を参考にして値段を概算しておくことが悪徳業者にひっかかってしまわないようにするためには大事です。以下のページをぜひ参考にして下さい。
一番大事なのは、なるべく早い段階で業者に依頼したりして対応する事が一番です。
その為に高齢のご家族をお持ちの方であれば普段から頻繁に連絡を取ったり、家に行ったりしたりして常に気に掛ける事が必要です。
また、マンションなどの管理人の方であれば、住民の方が孤独死していないかを新聞受けに新聞がたまっていないかどうかや、定期的な声かけで確認することが大事でしょう。