孤独死とは一人で暮らしている人が、家族や知り合いなどに看取られることなく独りで死んでしまうことを意味します。
現在日本ではなんと約3万人も孤独死していると言われています。
部屋を貸す側の管理人や大家さんなどからすると、住居者に孤独死されてしまうとその後処理に多大な費用がかかり、孤独死されてしまうことを恐れて老人には部屋を貸すことを渋ることもあるようです。
そんな中で登場したのが今回ご説明する「孤独死保険」という保険です。
孤独死保険とは?
孤独死保険とは、主に賃貸住宅のオーナーあるいは入居者向けの保険です。
住民が孤独死して誰にも気づかれずに放置されてしまうと、遺体は腐敗し強烈な匂いを発生させ、ハエやウジやゴキブリが大量発生してしまいます。
床や壁の深くまで遺体から出た体液が染み込んでしまい、汚れや匂いが取れない場合には部屋を多額のお金をかけてリフォームする必要性も生じます。
基本的に孤独死した部屋の特殊清掃は連帯保証人、法定相続人の順に費用の支払い義務が生じるのですが、保証人、相続人が不明であったり、連絡がつかなかったり、たとえ連絡がついても支払いが不可能である場合、部屋を放置しておく訳にもいかないためにやむを得ず、オーナーが支払う場合もあります。
特殊清掃をして現状復帰させている間の期間は、オーナー側からすると家賃収入を得ることはできませんし、たとえ現状回復できたとしても前の住民が孤独死した部屋に住みたがる人は少ないでしょうから家賃は下げざるをえません。
孤独死が自殺によるものであれば、それは意図的であるので家賃の値下げについて親族などに損害賠償請求することは可能です。
ですが老衰による死亡や病死による孤独死である場合、それは意図的では無いので、家賃の値下げによる損害の賠償を求めることできないのです。
更に、孤独死が発生した部屋の近隣住民から苦情が発生したり、悪臭によって評判がさがってしまう可能性もあります。
近隣住民が悪臭に嫌気がさして部屋を出て行ってしまった場合、さらに家賃収入が減るでしょう。
住民に孤独死されてしまうと建物のオーナーからするとかなりの痛手となってしまうのです。
また、入居者からしても自分が孤独死してしまった場合、遺品整理費、特殊清掃費、リフォーム費用などを遺族に負担させてしまうのは不本意でしょう。
以上のような問題を、金銭的に補償するのが「孤独死保険」です。
つまり、住民が孤独死してしまった場合、原状回復にかかった費用や家賃収入の低下による損失(オーナー側が保険に入った場合)を補償することができる保険が「孤独死保険」なのです。
「孤独死保険」は「少額短期保険(ミニ保険)」として、あるいは火災保険に特約で付帯される形で2011年ごろから、サービス提供され始めた保険です。
(少額短期保険とは、保険業改正(2006年4月)によって生まれた、保険金額が1000万円以下で保険期間が1年(第二分野については2年)とその名の通り、少額で短期契約の保険です。今まで根拠法が無いまま作られた「無認可共済」が増え、運営する共済組合の破綻により消費者が被害を受けるケースが発生したため(例:オレンジ共済)に、保険契約者を守るために新たに作られました。新たに保険業界に参入しようとする際に、資本金が普通の保険会社ほどは必要とされないので参入しやすい分野となっています。2006年の制度誕生からずっと右肩上がりに成長している保険です。)
近年になって、孤独死保険に参入してくる企業は増えています。
始めは少額短期保険会社が初めたサービスですが、今は損害保険会社でも提供されています。
新しい形の保険としてこれから利用者数は増えて行くでしょう。
「孤独死保険」を提供する少額保険会社の例
エイワン少額短期保険株式会社
「あんしん住まいるオーナー保険」
エイワン少額短期保険株式会社 「あんしん住まいるオーナー保険」
アイアル少額短期保険株式会社「無縁社会のお守り」
あそしあ少額短期保険「大家の味方」
「孤独死保険」を提供する損害保険会社の例
東京海上日動火災保険会社 「家主費用補償特約」
損害保険ジャパン日本興亜株式会社
「事故対応等家主費⽤特約」
損害保険ジャパン日本興亜株式会社 「事故対応等家主費⽤特約」